名古屋ボストン美術館にて 『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』が本日より開催!

名古屋ボストン美術館では 2017年11月3日(金・祝)~2018年1月21日(日)まで、『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』が開催されます。

鈴木春信(1725?-1770)は、錦絵創始期の第一人者で、錦絵の大衆化に貢献した浮世絵師としても知られ、浮世絵の発展は春信なしでは語れません。明和期(1764-72)を中心に活躍し、1図あたりの残存数が極めて少ない貴重な春信作品は、ボストン美術館が600点以上所蔵し、世界一のコレクションを誇っています。今回の『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』では出品作品の約8割が、ボストン美術館に収蔵されて以来はじめての里帰りとなります。

美しい錦絵の誕生

N1_見立三夕

鈴木春信《見立三夕 定家 寂蓮 西行》大判(細判三丁掛)紅摺絵 宝暦(1751-64)末期
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19703

世界で1点しか確認されていない春信初期の作品。まだ色数も少ない紅摺絵(べにずりえ)です
春信の活躍する少し前は、筆彩色や、2・3色程度の素朴な紅摺絵の時代でしたが、武家や裕福な商人の間で流行した絵暦(えごよみ)の交換会で、よりカラフルな美しい絵暦を求められました。あまり採算などを考えなかったことで、多色摺木版画技法が飛躍的に発達し、彩り豊かな錦絵が誕生したのです。

読む楽しみの奥の深さ

鈴木春信《百人一首 安倍仲麿》中判錦絵 明和5年(1768)頃
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19484

春信の錦絵には古典の物語や故事の名場面をひそませたり、和歌を題材に江戸の今の光景に置き換えて描き、絵を読み解く楽しみを与えてくれる「見立絵(みたてえ)・やつし絵」と呼ばれる作品が多くあります。「見立絵・やつし絵」を理解するのは、知識と教養がないと難しく、当時の武家や裕福な商家の趣味人たちの知識レベルの高さも驚きです。

江戸の若い恋人たち

鈴木春信《寄菊 夜菊を折り取る男女》中判錦絵 明和6-7年(1769-70)頃
Nellie Parney Carter Collection-Bequest of Nellie Parney Carter, 34.345

Y10_「風流江戸八景 駒形秋月」

鈴木春信《風流江戸八景 駒形秋月》中判錦絵 明和5年(1768)頃
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19500

春信の浮世絵には、若い男女を描いた恋の姿も多くの名品があります。その性別がにわかに区別できないほどの美少年と、可憐な美少女のスタイルで描かれていて、純粋で清々しい初恋のイメージが春信の世界となっています。

日常の幸福を描く

Y8_五常「智」

鈴木春信《五常 智》中判錦絵 明和4年(1767)
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19456

「智」のテーマにふさわしく、手習いをする少女たち。江戸時代は子供の教育に熱心でした。さりげない穏やかな日常、愛情あふれる母と子、無邪気な子どもの遊びなど、江戸で暮らす人々の日常の光景も多く描かれています。

実在する美人画と錦絵の大衆化

Y12_浮世美人寄花 卯花 笠

鈴木春信《浮世美人寄花 笠森の婦人 卯花》中判錦絵 明和6年(1769)頃
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19515

春信の錦絵は、誕生したばかりの頃は主に裕福な趣味人に向けて制作されていましたが、明和5年(1768)頃から大衆の興味に応じ当世の興味を江戸に実在する美人で評判の娘を主題に選ぶようになりました。中でも江戸一の美人と評判の笠森稲荷境内の水茶屋鍵屋の看板娘「お仙」は特に人気が高く、水茶屋の様子とともに鳥居や杉木立と描かれるお仙の図が多く制作されました。

紙質の良さを味わう

Y5_女三宮と猫

鈴木春信《女三宮と猫》中判錦絵 明和4-5年(1767-68)頃
William Sturgis Bigelow Collection, 11.19508

武家や商人など比較的裕福な層に好まれた春信の作品は、高級な奉書紙(ほうしょがみ)が用いられています。紙の白さや風合いも美意識の一つであり、特に要所に施された空摺(からずり)は、厚みのある高級紙ならではの見どころです。

※空摺とは、版木に絵具をつけずに強く摺って、摺り圧だけで紙面に凹凸を出す技法のこと。鈴木春信によって盛んに用いられるようになりました。

春信を慕う浮世絵師たち

Y14_喜多川歌麿 「お藤とおきた」

喜多川歌麿《お藤とおきた》大判錦絵 寛政5-6年(1793-94)
William Sturgis Bigelow Collection, 11.14282

春信は明和7年(1770)6月に急逝したと伝えられています。まだまだ春信の美人画を見たいと願う人々の願う気持ちに応えて、没後数年はその画風を大きく変えることなく描き続けました。本展では没後も春信を慕う浮世絵師たちの作品も紹介されています。

美人画の第一人者である喜多川歌麿が寛政5-6年(1793-94)に描いた《お藤とおきた》。寛政三美人の一人と讃えられた難波屋おきたが、かつて春信時代の評判娘お藤から巻物を授かっているところを描いています。お藤はこの時代には既婚となり、眉を剃りお歯黒をしています。

春信は主に美人画を描き、一世を風靡しました。神田白壁町に住み、平賀源内とも交流があったと伝えられています。1図あたりの残存数が極めて少ない春信作品。作品は8割以上が海外に所在し、日本で展覧会を開くのが最も難しい浮世絵師です。今回の出品作の中には、世界で1枚か2枚しか確認されていない貴重な作品も含まれているので必見です。


会期:2017年11月3日(金・祝)~2018年1月21日(日)
入館料金:一般(1300円〈1100円〉)、高大生 (900円〈700円〉)、中学生以下無料
※〈 〉内は20名以上の団体・平日17時以降の割引料金
※平日17時以降の高校生は無料

・米国ボストン美術館の姉妹館である、名古屋ボストン美術館ならではの多数の関連イベントを開催。
・着物で出掛けると「きもの割引」もありますよ。(着物で窓口にて当日券を購入すれば当日料金より200円引き)

名古屋ボストン美術館 『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』

電話番号:052-684-0101
住所:名古屋市中区金山町一丁目1番1号
開館時間:火~金曜日 10:00~19:00 / 土・日・祝休日・1/2、3 10:00~17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日、振替休日の場合は、その翌日)、年末年始(12/25~1/1)
アクセス:JR東海道・中央本線、地下鉄名城線、名鉄名古屋本線「金山」駅下車南口から徒歩1分